yusukepacino

博奕打ち 総長賭博のyusukepacinoのレビュー・感想・評価

博奕打ち 総長賭博(1968年製作の映画)
4.2
博奕打ちシリーズ4作目。前3作で監督を務めた小沢茂弘から山下耕作に代わりまた違った雰囲気を醸し出す。
ここでようやく博奕打ちのタイトルの意味を理解する。本作も単純な意味での博奕シーンは登場しない。多分に比喩的な表現を用いての言葉なのだろうか。
ところで本作はあの三島由紀夫がギリシア悲劇に例えて絶賛した作品として知られる。たしかに跡目争いに端を発した本来共闘すべきはずの兄弟間の争いは親の涙が表す通り親の心子知らずといったところ。無駄のない演出で後半から終盤にかけての展開がまさに三島由紀夫が讃えたとされる点なのだろう。ラストの鶴田浩二が格好良く、鳥肌ものだった。
それにしても音吉の無鉄砲さというかあれだと纏まる話も纏まらんわな。
長ドスを持って動き回る若山富三郎の迫力が凄かったのと金子信雄の憎々しさ。敵役のイメージが強い名和宏も板挟みに遭いながらも私の中にあったそのイメージを一新するかのような印象的な演技を披露してくれている。藤純子と桜町弘子も良かった。
惜しむらくは博奕打ちシリーズの1つとしてやる必要があったかどうか。やはり博奕シーンがこのシリーズの魅力だと思うのでそこだけ切り取ると今のところ3作目がベストか。全体としてはこちらだとは思うが。必ず帰って参ります。粋な台詞。
yusukepacino

yusukepacino