寝木裕和

スワロウテイルの寝木裕和のレビュー・感想・評価

スワロウテイル(1996年製作の映画)
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久しぶりに、そして公開してからもう幾度となく観たであろうこの作品を、ふとしたきっかけで、つい先日、観る機会を得た。


… この国は、猛烈なスピードで、『一見すると』戦後、驚異的な経済的発展を遂げた。

高速鉄道の線路や高速道路がこの狭い島国中に張り巡らされ、都会ではビルが立ち並んで、地方では大型ダム、空港、原子力発電所などが、便利・安全・高度成長の象徴…の名の下に、暴力的な勢いで造られてきた。

そして、それらの建設には、常に低コストな労働力として、海外の人の手が使われてきた。とくに、アジア諸国の人たちの手が。

それなのにこの国はそういった異国の地からの労働者に、暖かい目線で関わってきただろうか。むしろ話し方や生活の習慣の違うことを、蔑んだり嗤ったりするような雰囲気を助長するようなケアレスな扱いを彼らに対してしてきてはいないだろうか。

… この作品は自分にとって、21世紀に入って20年以上経った今でも、考えさせられるところの多いものだった。
寝木裕和

寝木裕和