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スワロウテイルのこーたのレビュー・感想・評価

スワロウテイル(1996年製作の映画)
4.1
円が世界で一番強かった時代、イェンタウンを舞台に母国での成功を夢見る移民たちの人間ドラマが繰り広げられる。
イェンタウンの世界観が作り込まれていて、引き込まれる。日本にあって移民たちの街。俗に言うチャイナタウンともまた違う、どちらかと言うとスラム街。
この時代ならではというか、小学生が薬やったり偽札稼いだり破ったりタトゥーしたり、アウトロー全開なので今だと倫理観あーだこーだでここまでの演出は難しいだろうなあと感じた。

街外れのボロ屋で日本人相手に日銭を稼ぐフェイホンとラン。イェンタウンのアイドル・娼婦のグリコ。そして彼女らに拾われる日本人・アゲハ。ある日グリコの顧客、須藤にアゲハが強姦されかけ、やむなく彼を殺してしまうことから物語は動き出す。彼の体内からカセットテープが出てきて、そこにはマイウェイが収録されていた。さらに調べると1万円札の磁気データが入っており、それを使い一同は大儲けする。
そのお金でクラブを建て、イェンタウンバンドを結成するとボーカルのグリコは忽ち芸能界に成り上がっていく。しかしイェンタウンの謎の女・レイコによってグリコのスキャンダルがバラされ、記者に追われる。それどころか中国マフィアにもカセットテープを求めて追われ、記者と一緒に逃げる羽目に。ランが撃退するわけだが、何者?殺し屋か潜入調査員か…。
フェイホンは追われるグリコを助けるために向かおうとするが、途中でドジをやらかし厳しい尋問の上に死んでしまう。ある意味、アウトローな方法によって成り上がった彼への因果応報的な最期だった。そして最後は彼の火葬なわけだが、冒頭で死者への火葬もできないくだりがあり、フェイホンの成果はきっとそのささやかな最期だったんだなあとカタルシスを感じさせた。
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