パラレルワールドの日本。
こんな空虚で乾ききった様な世界観の日本は嫌だけど、日本語と中国語と英語が混じったセリフは挑戦的なやり方だし新たな言語の発明だと思う。
冒頭の音楽、「むかしむかし」から始まるエピローグ、少女アゲハの成長譚、欲に溺れ自滅する人々といい、典型的なおとぎ話の様な作りで同じ日本を舞台にしながらも壮大な世界観が作り上げられている。
こんな独特の世界観で形成された空虚な日本があたかもフリの様に、最後新聞記者が「何これ、戦争」というセリフで壮大にツッコむシーンが好きすぎた。
様々な人種が混じり合っているがゆえに、人種に縛られたり自身が何者であるか葛藤し続ける登場人物たちは、海に隔てられた一つの民族だけの島国日本では、まるでリアリティが全くないが、だからこそこれから向き合っていくべき問題だと思う。
まぁ、余りにもカオスだから、こんな事を言うこと自体野暮だけど。
テーマ云々より、緻密に作り上げられた独特の世界観こそがこの映画の一番のエンタメになっている所が凄い。。
そういえば子供の頃アゲハ蝶を両手で捕まえようと、勢いよく掴んで本体部分を潰してしまったのを思い出した。
