コーカサス

トラック野郎 御意見無用のコーカサスのレビュー・感想・評価

トラック野郎 御意見無用(1975年製作の映画)
3.5
“男の旅は一人旅”

1975年から79年までシリーズ化された全10作品の記念すべき第1作。

派手なデコトラを操り全国を旅するトラック野郎の星桃次郎 (菅原) は、喧嘩にゃ強いがオンナにはめっぽう弱い。
青森ねぶた祭りや仙台七夕を舞台に、マドンナの洋子 (中島) と桃次郎の恋騒動が描かれる。

そのワンパターンと三枚目キャラクターから“東映版寅さん”として、何かと『男はつらいよ』と比較されがちだが、同年『男はつらいよ』は、シリーズ屈指の名作と呼ばれる第15作「寅次郎相合い傘」を公開、いくら喧嘩に強い桃次郎も寅次郎にはまだまだ及ばずといったところ。

しかし、本作以降全シリーズのお約束となるラストの失恋から自慢のデコトラがボロボロになるカタルシスは、寅さんにはない男気と潔さであり、また作品全体を通してもかつての「まむしシリーズ」同様、文太の喜劇的センスが光るシリーズ化も納得の娯楽作と云える。

129 2021