ひろ

チャンプのひろのレビュー・感想・評価

チャンプ(1979年製作の映画)
4.0
1931年に公開された同名映画を、フランコ・ゼフィレッリ監督がリメイクした1979年のアメリカ映画

科学者が「最も確実に人を泣かせる映画」として実証した作品と聞いて、乾燥する冬場に涙は流れない男として対決を挑んだ。勝ちました。泣きませんでした。むしろ目薬さしました。ただ、いい映画です。確かに泣ける映画だというのは間違いない。

リメイクといっても1979年版の方が有名だから、もう本家と言ってもいいだろう。元チャンプでさえない父親を、“チャンプ”と呼んで尊敬する息子がすでに泣ける。死んだと思っていた母親が登場したりしながら、再びリングに登る父親。「ロッキー」みたいに、勝ってハッピーエンドといった単純な展開じゃないから泣けるんです。

ビリーを演じたジョン・ヴォイト。最近ではアンジェリーナ・ジョリーの父親と言われてしまうけど、一時代を築いた名優だ。元妻を演じたフェイ・ダナウェイも、アメリカン・ニューシネマ全盛期から活躍する魅力的な女優だね。

この作品で注目すべきはデビュー作品でゴールデングローブ賞新人男優賞を受賞した、当時9歳のリッキー・シュローダーだろう。歴代の天才子役という話題になったら、「ペーパー・ムーン」のテイタム・オニールと「チャンプ」のリッキー・シュローダーは外せない。共通しているのは、大人顔負けのしっかり者でありながら、純粋な子供らしさを兼ね備えているところだと思う。

天才子役という肩書きは、多くの子役を苦しめてきた。テイタム・オニールなんかは典型的な破滅型だったし、マコーレー・カルキンもひどかった。リッキー・シュローダーは地味ながらも、ドラマに出演したり、監督として活躍しているので嬉しい。いまも日本では、人気子役を起用しまくって、その可能性を潰しているけど、子役はもっと大切に扱ってほしいものだ。

天才子役と言ったらリッキー・シュローダーと呼ばれるほどの演技と、必ず泣ける作品と言われるほどの感動の物語を体験してもらいたい。冬場に涙は流れない男は、新たなる挑戦者を探し求め、夜な夜なTSUTAYAをさ迷い続けるだろう。
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