コーカサス

チャンプのコーカサスのレビュー・感想・評価

チャンプ(1979年製作の映画)
4.0
再び栄光の座に返り咲く事を夢みる元世界チャンピオンボクサーと、その父親を尊敬し“チャンプ”と呼んで慕う息子。

アメリカン・ニューシネマ『真夜中のカーボーイ』『俺たちに明日はない』をそれぞれ代表作とする名優たちに負けず劣らず肩を並べた子役リッキー・シュローダーの名演技が光り輝く傑作だ。

子供の頃に描いた大人像は大人になると肩透かしを食らう。
尊敬するチャンプであるの父(ボイト)、実の母(ダナウェイ)、周りの大人たちがまだ子供であるTJ(リッキー)の理想とする大人像ならばそれは程遠い。
しかし、実際の大人とはそんなもので、大人であること以前の弱き人間の魅力こそがこの映画の核なのだ。

本作を観る度に涙する理由は、そんなTJの健気さと、彼に応えようと必死に頑張る弱き大人たちの姿が愛おしく重なるからだろう。

227/227 2019