三隅炎雄

ランド・オブ・ザ・デッドの三隅炎雄のレビュー・感想・評価

ランド・オブ・ザ・デッド(2005年製作の映画)
4.5
封切時は演出が保守的になった気がして今一つ乗れなかったのだが、今見ると堂々たる傑作で、これはもう丸っ切り今現在の私達自身の物語ではないか。17年経って新自由主義日本はここまで荒廃したのだ。

人間たちは権力者に飼いならされて死ぬ前にすでにゾンビ状態で、革命の突破口さえゾンビに開いてもらう有様だ。とうとう知恵のあるゾンビが出てきたが公開時のウリだったが、同時に生きているのに考えることを止め退化した人間たちの姿もセットで映画に描かれていたのだ。それが今とてもよく分かる。
実質的な主役はジョン・レグイザモで、怒りと諦念を繰り返しながら、ゾンビになることで漸く真の反逆者、革命家になる筋書きが感動を呼ぶ。レグイザモとゾンビリーダー(ガソリンスタンドのおっちゃん)が打ち合わせなしの華麗な連携プレーで見せるデニス・ホッパー殺しが美しい。
三隅炎雄

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