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風のある道の3104のレビュー・感想・評価

風のある道(1959年製作の映画)
3.8
典型的なメロドラマ仕立て。話はベタといえばベタだが押さえるポイントは押さえ、笑わせるシーンもありながらきっちりテンポとメリハリも効いている。

「三姉妹モノ」with「結婚問題」という構成で、実質的な主人公は次女の芦川いづみ。心優しい彼女が選ぶのは血の通わぬエリート風の許嫁か、それとも貧しくも熱い心を持つ好青年か。

とにかく芦川いづみである。
典型的と言っていい、彼女目当てで観る人の多くが望んでいる「芦川いづみ」像がここでは展開されている。
急いでいるのに怪我をした犬を病院に連れていく心の優しさ。子供とすぐに打ち解ける無邪気さ。板挟みで悩む憂いの表情。品のある和装とスマートさが際立つワンピース姿の対比(和装でのアップも洋服での下した髪型も両方いい)。
とにかく芦川いづみである。

三姉妹の長女・北原三枝はゲスト的な扱いであまり目立たぬが、お転婆な三女・清水まゆみがいいポジションで物語や登場人物達の間柄に対しスパイスのような役割を果たしている。
清楚な芦川と対照的な、健康的で色っぽい肢体も眩しい。

他にも小高雄二、葉山良二、岡田眞澄などが画面を彩るが、物語が進むにつれ三姉妹の両親(大坂志郎/山根寿子)の存在感がいい“重し”のような役割を果たすようになる。ことに最後の大坂のセリフ「我々は死ぬまで恥をかいて歩かなきゃならんだろうね」が心に沁みる。
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