うにたべたい

虹男のうにたべたいのレビュー・感想・評価

虹男(1949年製作の映画)
2.5
物理学者・「摩耶龍造」の弟子「菅八郎」と思われる焼死体が、蓼品の別荘の火災跡から、刺殺痕のある状態で発見される。
新聞記者の「鳥飼美々」は、友人の「由利枝」がこの事件の容疑者になっていることを知り、詳細を尋ねるために恋人のライバル誌の記者「明石良輔」と共に警視庁を訪れる。
由利枝に仔細を尋ねる中、彼女が虹の幻影に取り憑かれていることを知る。
そんな中、摩耶家の女中・「かね」から電話があり、虹が見える、虹男が来ることを仕切りに訴える。
かねは遺体で発見される。
美々と良輔、由利枝は事件の真相を確かめるために摩耶家を訪れる。

古式ゆかりの連続殺人事件を扱ったミステリー映画。
タイトルから"虹男"という怪人が暴れ回る特撮映画をイメージしていたのですが、最後まで想定していた虹男は登場しませんでした。
本作が今もある程度市民権があるのは、この紛らわしいタイトルとパッケージデザイン故だと思うんですよね。
正直なところ、それほど面白いものではなかったです。

モノクロ映画ですが、一部、虹の表現部分だけカラーになっています。
これが当時としてはかなり画期的だったそうで、このパートカラーの表現に、円谷英二が関わっていたと言われています(クレジットには記載なし)。
なお、現存するフィルムにこのパートカラー部分が残っておらず、今、視聴できる映像は当時観た人から再現して作ったそうです。
とはいえ、画面いっぱいに虹の色が流れるだけなので、それほど変わりはないのかなと思います。

ミステリーとして観ると、殺害方法は説明不十分、動機も、特に女中を殺した意味がわからず、いまいちに感じます。
会話もぼそぼそして聞き取りづらく、犯人特定に至った理由もかなり弱いです。
探偵役の美々と良輔に活躍の場があまり無くて、キャラクターにも魅力を感じませんでした。
関係者に死傷者が合わせて5人も出たのに、クローズドでもない屋敷から逃げ出さないのも不自然に感じます。
身近な人が死んだんだから、もう少し危機感を持って行動しようよ、ってなりましたね。
モノクロのミステリー映画で、虹をキーとした怪奇的な雰囲気は十分出ていたと思いましたが、内容は微妙だったかなと。
好きな映画を聞かれて、「虹男の雰囲気は好き」と答えるために観るのはありかと思います。