不在

霧の中の風景の不在のレビュー・感想・評価

霧の中の風景(1988年製作の映画)
4.8
はじめに混沌があり、それから光がきたというセリフから見るに、劇中の父とは神を、この2人の姉弟はアダムとイブを表している。
弟には労働の苦しみ、姉には産みの苦しみが与えられた事を示唆するような描写もある。
つまりこの2人が目指していた地は、エデンの園だったのだ。
ドイツへの道程が東へ行ったり西へ行ったりしているのもこれが実際の旅ではなく、心の中の回廊、つまり混沌を彷徨っていたからであり、そこで様々な試練に耐え、辿り着いた楽園に新たな世界を創造してほしいという、アンゲロプロスが自らの子に託した希望としての作品なのだ。
これはタルコフスキーの『サクリファイス』と同じテーマでもある。
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