マインド亀

レインメーカーのマインド亀のレビュー・感想・評価

レインメーカー(1997年製作の映画)
3.5
若かりしマッド・デイモンの、はぐれ弁護士人情派ムービー

●コッポラ作品の中でも小規模でこじんまりとした正統派ヒューマン法曹ドラマ。確かに名作でした。

●新人弁護士が大きく抜かりのない悪の企業とベテラン悪徳弁護士と対決する、爽快な作品。勧善懲悪で、とにかくピンチに陥るところを逆転していく流れが池井戸潤作品的でした。

●『スティルウォーター』主演のマッド・デイモン繋がりで拝聴いたしました。この作品の24年後のマッド・デイモンは役作りのためにガタイを大きくし、翌年の『AIR』ではメタボっ腹を披露。やっぱこの『レインメーカー』の時はシュッとしてましたね。続けてみるとその変遷が面白いんですよね。
初々しくて正義感あふれる、それでいて前向きでユーモラスな男というのは、『オデッセイ』での役柄にも通じる気がします。

●人権派の弁護士として強者と弱者の中間に立つルーディ(マッド・デイモン)。彼が独り立ちし、初めての裁判で認められ、雨のように金を稼げるレインメーカーとなるかどうかは映画を観てのお楽しみです。ミッキー・ロークや、ダニー・デヴィートも脇を固めて彼らの演技だけでもかなり面白いんですね。







ネタバレ含みます

●ですが、ちょっとモヤっとしてくるのが、中盤のケリーとその夫との対決です。ここで確実に正当防衛とはいえルーディは夫に対して金属バットで殴っています。そこで現場からケリーに逃されてそのまま全てをケリーがかぶる、というのも、結果オーライかもしれませんが、なーんかモヤモヤするんですよね。も少しこちらのDV男の問題に対する解決も、暴力以外で法的な解決があれば、現実にDVで悩んでいる人々に対する希望になり得たかもしれないのに、ちょっと残念でした。確かにDVを解決することは難しいけれど、その解決手段が暴力しか無いってのもなあ。あと、ルーディはその暴力の一撃を入れてることに対する多少の良心の呵責の描写がもうちょい無いとおかしいよなあ、という気がしました。皆さんはいかがでしょうか。
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