YuukiImazu

ハンバーガー・ヒルのYuukiImazuのレビュー・感想・評価

ハンバーガー・ヒル(1987年製作の映画)
3.7
南ベトナムの937高地での凄まじい激戦から、ある米兵が『兵士が挽肉にされる丘』、と呼んだことで、その丘は「ハンバーガー・ヒル」という名がついたそうだ。

塹壕や地下通路を張り巡らす、手強いベトコンの猛襲や、味方の援護部隊のヘリからの一斉掃射による誤射で命を落とす米兵たち。ストーリー性は排除され、映画の大半が凄惨な戦闘の連続で、まるで戦地に身を置いているかのような感覚。

若き新兵たちが目指す、ベトコンが占拠する丘の奪還。その作戦の目的を果たしたところで、何になるのだろうか。そこにあるのは、銃弾の嵐と死体の山のみ。臓物が飛び出したり、身体の一部が吹き飛んだ死体や、至近距離で銃弾を浴び弾け飛んだ頭部が、まるでグチャグチャにしたザクロのようで、強烈なグロ描写も圧巻の一言。

祖国と戦地との温度差は あまりに無情だし、無意味な作戦だと理解しながら死に物狂いで戦い続けた結果が、劇中でも何度か口にされた、正に『何もない』、というのがあまりにも虚しい。戦争という行為の愚行さを、観る者に冷たく突きつける。
YuukiImazu

YuukiImazu