ジョンアーヴィンのベトナム戦地ハンバーガーヒル
2009年7月11日 13時46分レビュー
監督ジョンアーヴィン。
1980年代量産されたベトナム戦争物の中の1987年作品。
空挺舞台の占領作戦を描く。
通称「ハンバーガーヒル」といわれる激戦地。
その丘に挑む無名の兵士達。
その中にのち「ホテルルワンダ」で主人公を務めるドンチードルがひっそりと戦っています。
本作は同時代のオリヴァーストーン作品のような明確な兵士の連帯やドラマは極力抑えられ、
兵士達のくだらない言い争いや黒人兵士との差別的言い争いなど実にリアルな感じです。
そんな争いも爆砲ひとつで血相を変え人殺しにうつる世界。
無名な兵士達が娼婦を梅毒とわかっていて抱き、
いがみ合いながらも丘を登り戦闘する姿は無情な感情が立ち上ります。
アメリカも傷ついた若者が冒頭にうつる墓石の無数の兵士の名前のように本作の丘で血をながしたかと思うと、
とてもむなしい気持ちになります。
爆撃映像(カメラが振動している凄み)
戦闘機が横切った後の爆風とキノコ雲。
ラスト付近の泥まみれで滝のような雨の死闘は必見。
負傷者が目を閉じる間、砲弾の中、抱き止める姿にせめての暖かみのようなものを感じます。
脚本のジェームズカラバトソスは、イーストウッド作品「ハートブレイクリッジ」より本作の方がよりリアリスティックに迫っていたと思います。
なにゆえに丘に登るのか?