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マグダレンの祈りの一のレビュー・感想・評価

マグダレンの祈り(2002年製作の映画)
3.9
1964年のアイルランドを舞台に、未婚の母やレイプ被害者、娼婦など“堕落した“とされる女性たちを収容するマグダレン修道院にて、更生の名のもとに非人道的な生活を強いられた彼女たちの悲劇を、実話に基づいて生々しく描く

あまりにも理不尽で胸が苦しくなる衝撃作
たった四半世紀前まで刑務所より劣悪な環境が存在していたこと自体がとんでもなく恐ろしいけど、一時はアイルランドのこのような女子矯正施設に、3万人も収容されていたという信じられないエピローグまでついてくる悍ましさ

そんな映画のような世界の史実を、わかりやすく作り込まれた脚本と張りつめた緊張感で、非常に巧く表現できているのが素晴らしい

当時の厳格すぎるカトリックの価値観が中世過ぎてドン引きしまくりの胸クソ悪さ
女性の貞操観が重要視する宗教を全て否定するわけではないけど、さすがにこういうのを観てしまうと理解するには相当厳しいものがある

かなり重いテーマを扱った作品ですが、『カッコーの巣の上で』と重なるような作品で、語弊があるかもしれないけど映画としてはかなり面白いというか良く出来ているので、めちゃくちゃ引き込まれてしまうストーリーテリング

メインとなっている全く異なる性格をした3人の女性それぞれの心の揺らぎがとても丁寧に描かれ、サイドストーリーも非常に秀逸だし、ハッとするようなシーンも盛りだくさんで最後まで飽きることなく突き進む

なによりこの主要キャストも皆さんの演技が抜群に巧く、ショッキングな演出だけでは表現しきれない部分を実に緻密に演じていて本当に素晴らしかった

この修道院に限った事ではなく、今でも存在する日本の矯正施設と言われる場所でも、理不尽な暴力やいじめというのはよく聞く話なので、本作も決して他人事戸は思えない

DVDの特典映像に『マグダレン修道院の真実』というドキュメンタリーが収録されているのでそちらも必見です

〈 Rotten Tomatoes 🍅91% 🍿89% 〉
〈 IMDb 7.7 / Metascore 83 / Letterboxd 3.7 〉

2021 自宅鑑賞 No.280 GEO
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