ついにたどり着いたぞクレイグ・ボンド!
007シリーズ第21作。
ちなみに、1967年に公開された同名の奇作と作品的な繋がりは一切ない。
”5代目ボンド”ピアース・ブロスナン主演の前作『ダイ・アナザー・デイ』の公開から4年。
ボンド役としては初の金髪、そして印象的な水色の美しい瞳を持つダニエル・クレイグが「殺しのライセンス」を引き継いだ。
時代の経過とともにCGやアクションシーン、カメラワークなどはもはや「別映画」ともいえるほどに進化。
ショーン・コネリーからピアース・ブロスナンまでの007シリーズをあえて”クラシックな”ボンド映画と表現するならば、いよいよ本作から”現代版”ボンドの活躍が幕を開けることとなる。
✏️時代の流れとともに
本作で何より特徴的だったのは、ダニエル・クレイグ演じる劇中のボンドが「殺しのライセンス」を持つスパイとしては”まだまだ若く半人前である”という印象をこちらに抱かせた点だった。
事実、物語冒頭の時点で、ボンドは”00”(ダブルオー)の称号を保持していない。
内部汚職を招いていた張本人とその部下の暗殺に成功した功績が認められ、先の称号を与えられることと相成る。
その後の展開においても、本作のボンドが「まだ若く未熟」であることを感じさせるシーンがちらほらと存在した。
✏️アクション
過去の007シリーズ内でも、その作品を象徴する代表的なアクションシーンというものが必ず存在したが、本作におけるそれはやはり物語序盤。
工事現場における”爆弾男”との追いかけっこ。
パルクールを彷彿とさせる俊敏さと身のこなしでボンドから逃げる爆弾男と、ほぼ力技で工事現場の壁や足場をぶっ壊し、爆弾男を追うボンド。
クレーンの鉄骨や壁に体をぶつけつつも男を追うボンドの姿は”先輩”たちにはなかったタフさやエネルギッシュさが伝わってくるようだった。
またこちらはアクションではないが、ボンドと本作ヴィランのル・シッフル(マッツ・ミケルセン)のポーカー対決も特徴的。
「相手の癖を見破った」とタカを括った結果勝負を焦り、それを逆手に取られ敗北するボンド。
「未熟さゆえの敗北」とも受け取れる印象的なシーンの一つだった。
✏️ボンドガールとのロマンス
クレイグ・ボンドの「若さ」を印象付けるもう一つの展開は、本作ボンドガールのヴェスパー・リンド(エヴァ・グリーン)とのロマンス。
本作ではボンドがこのヴェスパーとマジな恋に陥ってしまい、挙句「君のために仕事を辞める」とまで発言する始末。
これまでの作品では、基本的にワンナイトラブだったり劇中およびクライマックスシーンにおける”お約束”的な扱いだったボンドガール。
”2代目”ジョージ・レーゼンビー主演『女王陛下の007』でもボンドとボンドガールが恋に落ち最終的に結婚するという展開はあったが、それと同じく愛のために「殺しのライセンス」を放棄するという展開はシリーズ中でも異例。
結果的にこのロマンスは悲恋に終わり、ボンドは自らの使命を思い出し、再び戦いの場へと足を運ぶことになる。
✏️ストーリー
ストーリー内容は若干わかりづらく、なぜそうなったのか、と感じる場面も。
脈絡なく途中からいきなり出てくる悪役や人物も多いため、若干不親切に感じる展開も多い。
ヴェスパーがなぜボンドを裏切ったのか…?という謎はクライマックスにてMの口から語られるが、後付け感は否めなかった。
大ボスのル・シッフルが突然出てきた殺し屋にあっけなく命を奪われてしまう展開も味気ない。
だが、オトコだったら思わず顔をしかめ股間を抑えたくなるあの拷問シーンは一見の価値アリ(?)
☑️まとめ
過去作のボンドはどちらかというと「武器にも女性の扱いにも長けた成熟したスパイ」というイメージがあったが、本作ではいい意味でそのイメージを一新できている。
”My name is Bond, James Bond.”
伝統のセリフで本作を締め括ったボンドの活躍は、次作『慰めの報酬』へと繋がる。
<作品スコア>
😂笑 い:★★★★☆
😲驚 き:★★★★★
🥲感 動:★★★☆☆
📖物 語:★★★★☆
🏃♂️テンポ:★★★☆☆
🎬2023年鑑賞数:12(4)
※カッコ内は劇場鑑賞数