久しぶりに観たがめちゃくちゃ良かった。
市川準監督作品はこの「大阪物語」だけでなく、どの作品からも映画の根底にある、市井の人々へのとても優しい監督の眼差し、愛情を感じる。観ていてとても心地良くなる。こんな映画監督は数少ない。
カメラがとてもいい。大阪という街の空気感をとても巧く表現している。20年前の大阪、今は撮りたくても撮れない貴重な風景。そしてそれはその当時意識していないと撮る事は出来ない。ゲリラ撮影だと思うが天神祭のシーンなんかもとてもよく撮れている。
池脇千鶴の演技、表情だけで語る幾つかのシーンが本当に素晴らしい。切なさ、哀しさ、むなしさ、喜び、それぞれの感情が凛々しさのある表情の中に表現出来ていて、これが映画デビュー作だとは思えない。
セリフがあるシーンでは夜の通天閣を背景に父親と話すシーン、おむつを替えるシーンが好き。今現在も最前線で活躍しているのも嬉しいし本当に素晴らしい女優。大好き。
「無意味な人生なんてどこにもないんやなぁ」