ダンテの神曲になぞらえて、「地獄篇」「煉獄篇」「天国篇」の三分構成から成る作品。
本作は、内戦の爪痕生々しいサラエヴォが舞台。
主人公の名前はオルガ。
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で発生した包囲戦であるサラエヴォ包囲では、まず真っ先に反戦運動の行進をしていたスアダ・ディルベロヴィッチ(Suada Dilberović)とオルガ・スチッチ(Olga Sučić)の2人が初の犠牲者となってしまいました。
ゴダールは、本作で主人公につけたオルガという名前は、おそらくその犠牲者から引用したものだと思います。
第二部の煉獄編では、ゴダール自身が「切り返しショット」について講義しているシーンがとても興味深かったです。
現在、ウクライナだけでなくパレスチナ・ガザ地区でも戦闘が続いていますが、ゴダールが今生きていて元気だったなら、きっとそれらの争いに対してゴダールらしいアプローチの仕方でまた何か新しい手法の映画作品を作ってくれたかも知れません。