ーcoyolyー

陽暉楼のーcoyolyーのレビュー・感想・評価

陽暉楼(1983年製作の映画)
4.0
ずっと観たいと思いつつも長らく機会のなかった宮尾登美子×五社英雄初体験です。

あまりにもマッチョで嫌気が差したら即時撤退と思って観始めたんだけど意外や意外、男のマッチョな部分を醜く情けなく見窄らしいものとして曝け出して女たちに連帯してシスターフッドを展開する監督だった。池上季実子と浅野温子のキャットファイトなんか完全にこれ殴り合った後に友情芽生えるやつや…!!!という撮り方で実際に「きょうだいみたい」という言葉で最終的にその関係性を括ってた。

五社英雄名物キャットファイトとしては倍賞美津子が格の違いを見せつけてましたけどね。流石アントンの(元)妻、プロレスを知り尽くしている。倍賞美津子、対戦相手の佳那晃子にもたっぷり見せ場作らせるのよ。それで圧倒的チャンピオンである倍賞美津子危うし!?みたいに観衆が焦り出したところで満を持して圧倒的な力量差を見せつけて最終的には完勝してる。やってることが完全にアントニオ猪木なんですわ。当時まだ婚姻関係継続中なので夫婦ってこういうことかよって思いましたね。

五社英雄、倍賞美津子を強く美しく、緒形拳を情けなく惨めったらしく撮るので、ああこの人は自分のこういうところが嫌いなんだなと伝わります。極道が面子がどうこう喚き立てるのをバカじゃねえの、と冷たく突き放す。それは自分に対してそう思ってるからだよね。この人なんでこんな風に女を撮れるのかな、エロいんだけど、めっちゃくちゃエロいんだけどいやらしくないというかそこに本人が欲情しているかというとそうでもない気がする。実はクローゼットのゲイだったりしたのかな。ゲイの人がこの映画というか五社英雄のこの路線を好きになりがちなのはそういう匂いを嗅ぎ取っているからなのかな。

あ、この映画、緒形拳と仙道敦子が共演してましたよ。後に緒方直人との結婚により親子になるとはつゆとも知らずに共演してましたよ。同じシーンに居合わせることはなかったと思うので現場で顔合わせるような絡みがあったかどうかはわからないですが。
ーcoyolyー

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