Benito

照明熊谷学校のBenitoのレビュー・感想・評価

照明熊谷学校(2004年製作の映画)
3.7
【 照明技師の功績を学ぶ貴重な記録 】

このドキュメンタリーは映画「怪盗ルビィ」で監督だった和田誠が監修、主演のキョンキョンがナレーション、真田広之インタビューなどの要素により、きっと注目されることになった映画製作では裏方としてなかなか注目されない照明技師である熊谷秀夫の半生を描いた作品。まず、こういった映画を放送してくれたCSに感謝。。

そもそも、
照明技師とは映画製作における撮影の照明設計の責任者、照明助手はライト、レフ板等の照明機材を設置・操作し、俳優を中心とした照明設計の実務を行っている。最近観た日本映画でもテロップには照明1名、照明助手が5名いた。因みに撮影助手は4名だった。つまり、映画照明クルーというのは大所帯だと思う。ハリウッド映画のテロップでは照明技師は撮影監督の下に置かれ、ガファー(gaffer)、助手はベスト・ボーイ(Best boy)とかグリップ(Grip)とか表記されているがまた日本とはシステムも関わる人の数も違うようだ。

しかし、
熊谷秀夫の関わった映画が凄い。
1950年代の「雨月物語」「山椒太夫」「近松物語」などの溝口作品から大映のカラー第一作「地獄門」の照明助手として活躍し、日活で1960年代「けんかえれじい」「東京流れ者」「紅の流れ星」などで個性を発揮し、日活路線変更以降もロマン・ポルノ、更に山口百恵作品「潮騒」「絶唱」も担当。そして1970年代後半以降は長谷川和彦、藤田敏八、寺山修司、山田洋次、和田誠、平山秀幸といった多様な監督たちの作品に参加しているのだから、気づかないうちに熊谷照明にお世話になっていた事に気づく。自分のなかでは、清順作品もあるが、「セーラー服と機関銃」などの相米作品群や長谷川和彦とジュリーの「太陽を盗んだ男」、佐藤 純彌と高倉健の「野生の証明」など記憶に強く残る。

本作は撮影監督と併せて照明技師のテクニックや苦労にも注目して、これからも映画を観ていこうと思わせるそんな作品だった。
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