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娘・妻・母のleylaのレビュー・感想・評価

娘・妻・母(1960年製作の映画)
4.0
「東京物語」の成瀬巳喜男バージョンといった感じ。タイトルどおり、娘・妻・母それぞれの女性の立場や生き方を主題に描いた作品。

母親と5人兄弟の中流家庭を舞台に、遺産や投資、保険の話、親の世話は誰がみるかなど、現実味のあるやりとりが繰り広げられる。

ほどほどの暮らしぶりの家族が、ある日、長男が家を抵当に融資した工場が潰れたことで、住んでいる家を売るハメになる…

親の世話をしたがらない兄弟たち。夫に先立たれ出戻りした長女役の原節子と長男の嫁役の高峰秀子、この家では肩身の狭い身である2人が母の面倒をみると言う。やさしい2人がいたことで救われる思い。適役でした。

40歳の原節子とまだ20代後半の仲代達矢の背中越しのキスシーンが新鮮。小言を言わせたら日本一な杉村春子の嫁への愚痴はやっぱり秀逸。

母役は三益愛子、長男には森雅之、次男に宝田明、次女には草笛光子、三女に団令子、その他にも笠智衆や上原兼など、蒼々たるキャスト。

当時、80円のイチゴのショートケーキを家族分買ってくるあたり、贅沢な暮らしぶりがうかがえます。笠智衆が近所の老人役で、子供を1日預かって70円と言っていた。給料や財産など、当時のリアルなお金の話が面白かった。
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