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コロッサル・ユースのokawaraのレビュー・感想・評価

コロッサル・ユース(2006年製作の映画)
3.5
家具が家屋の階上から押し出されるように、再開発が進む移民街から追い出された黒人たちは、白い部屋へと押しこまれていく。空間性を排してフレームに収められていく室内の行き場のなさが、そのまま彼らが社会に見出す閉塞感であることは言うまでもないが、だからこそこの映画で自由を獲得する唯一の被写体(ワゴン販売の調理器具から、僅かに抜ける大空へと立ち昇る水蒸気)を目撃したとき、その皮肉よりもむしろ安堵を感じてしまった。それはすなわち当事者の心の内を想像するに足りぬ、私の良心の敗北だったように思う。
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