土萠めざめ

この胸いっぱいの愛をの土萠めざめのネタバレレビュー・内容・結末

この胸いっぱいの愛を(2005年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

泣きました。今まで観た邦画で一番泣いた。原作を中学生のころに読んで、やはり涙が止まらなくなって感動した記憶があったので、覚悟はしてたんだけどここまで泣くとは……。
まずあらすじが巧妙で素晴らしいなと思います。タイムスリップした4人はすでに死んでいて、過去の未練が解消されたとたんに消える、という切なすぎる設定。発想力に脱帽です。4人それぞれが悲しい過去に向き合って、何かを変えようとする姿が胸を打ちました。結局みんな消えてしまうのに……。主人公が奮闘したお陰で、死んだはずの和美姉ちゃんは生き続けることになったわけですが、それでもヒロは飛行機事故に遭うことになる。そうしたら、新しい世界では、変えたい過去が無くなったわけだから、ヒロは過去にタイムスリップすることなく死ぬのかな?ん?まてよ?……と、妙な時間のねじれのようなものがひっかかって、物語に謎と深みを与えている気がします。
ヒロの「生きたくても生きられない人もいるんだ」と怒鳴る場面、和美姉ちゃんの「もっと生きたい……」と泣き崩れる場面が特に泣けた。ヤンキー兄ちゃんがお母さんに「そんな奴産むな」とキレる場面も悲しすぎた。
こんな「ありえない物語」なのに、違和感なく映像化されていてすごい。テンポもよく、最後まで飽きませんでした。
塩田監督も梶尾さんも、それぞれ他に1作品ずつ触れたことがあって、どれも素晴らしかった。気になるお二人です。ミムラさん、綺麗だった。子役のヒロも名演技。