MOCO

折れた矢のMOCOのレビュー・感想・評価

折れた矢(1950年製作の映画)
4.0
「私は約束を守る」(コチーズ)
「お互いに信じないと平和は訪れない。
 悪いアメリカ人もいる、悪いインディアンもいる。両方に信用できない人はいる」(トム)

 1870年頃アパッチ族のリーダーだったコチーズ酋長と白人トムの物語です。
 先住民のインディアンが悪で善良な開拓者の白人を襲い、白人は平和のためにインディアンと戦うという史実をねじ曲げた西部劇が否定された代表格の映画です。西部劇の転換期の映画として観るべき映画で、平和を求めるインディアンが描かれています。
 ストーリー展開を早めるためにアパッチ族は英語を話す設定になっているのが残念です。


 アリゾナで金を探すトムは白人に銃で撃たれ逃げ惑うアパッチ族の少年に出会います。

 開拓者である白人と原住民のインディアンが対立する時代であったため傷ついた少年はトムを警戒したのですが、傷のせいもありトムの差し出す水筒から水を飲みます。

 トムは少年の体に残る銃弾を取り出し、苦しむ少年と数日を過ごすのですが、そこに現れたアパッチの集団に囲まれ絶対的な生命の危機をむかえます。
 アパッチ族の男達は少年の話を半信半疑で聞きながらも、取り上げたトムの拳銃を返すとすぐにここから出ていくことを条件にトムは釈放されます。
 
 トムは町に戻るとたちまち噂は広まり町の人の生活を守るために郵便配達の馬だけは襲わないようにできないかアパッチ族のリーダーと話し合いに行くことになり、アパッチ族のリーダー・コチーズと交渉し約束を取り付けます。

 その夜トムはインディアンの少女ソンシアレイを知り、翌朝川辺でソンシアレイと偶然出会います。部族の間では処女の女性は男性と巡り会う日が決められているのですが、二人は会話を交わします。

 トムの約束通りに郵便を運ぶ者は襲われなくなり、アパッチとの和平を大統領に命じられたハワード将軍はトムと共にコチーズと交渉を行い休戦を成立させます。

 トムはコチーズから処女の娘と会うことを禁じられるのですがソンシアレイへの思いから結婚を許されます。

 アパッチと白人の間には争いがなくなっていくのですが、アパッチの中にはコチーズから離れて白人を襲う者もおり、白人の中にもインディアンに敵対する者がいます。

 やがてアパッチと過ごすトムは、トムのことをよく思っていない町の者に騙し討ちのように撃たれ、銃弾はトムを守るように立ち塞がったソンシアレイにも・・・。
 銃弾に傷つきソンシアレイを失ったトムは捕らえられた白人の一人をナイフで殺そうとするのですがコチーズに止められます。
 復讐しなかったトムの行為は平和の礎になりソンシアレイの死は後々の平和に大きな影響を与えます。
 

 この映画はフォローさせて戴いているkuronoriさんが私の「アバター」のレビューコメントに紹介戴いたものですが、探しに探して最近になってやっと入手することができました。kuronoriさん曰く「映画『アバター』はこの映画のストーリーそのもの」というものです。
 主人公は先住民の仲間になり・・・
 先住民の娘に恋をして・・・
 先住民を心から理解して・・・
 自分の種族側が先住民に攻撃を仕掛け、自分は先住民側に立って・・・
 
『アバター』のストーリーは確実にこの映画の影響を受けています。私もそう思います。
『アバター』ファンは必見ですが、ここまで来ると私のキャメロンのアイデア枯渇説が本当に怖くなってしまいます。
 
 探して、探して、探しまくって巡りあえて良かったです。
 紹介してくださったkuronoriさんに大感謝!鋭い視線で映画を観ているんですね。情報なしで観ていたら私はきっと気がつかなかったです。
「ありがとうございました」
MOCO

MOCO