「カラスはカカシを見て笑うんだ」
刑期を終え出所したばかりのマックスは
洗車業を始めるためにピッツバーグへ向かう。
一方、5年の船乗り稼業を辞めたフランシスは
まだ見ぬ自分の子供に会うためにデトロイトへ向かう。
行き先も目的も違う二人の男の奇妙なロードムービー。
ようやく見れた、パチーノ先生の代表作！
レンタルで置いてなかったから思い切って購入。
いやぁ、買ってよかった。
公開は1973年、ニューシネマ後期の作品。
なんとパルムドールも受賞しているのだ。
主人公はフランシスとマックス。
フランシスは人懐っこくて陽気な性格、
マックスは人を信用しない、短気な性格。
こんな正反対の性格の二人が出会い、
そして旅をしていくうちに、次第に打ち解けていく。
最初からノリノリのフランシスと
そのフランシスを煙たがるマックス。
二人は一緒に洗車業を始めることにする。
洗車会社をピッツバーグで設立するために
二人はそこへ向かうんだけれど
途中で二人のそれぞれの家族に会いに行く。
マックスは妹に会いに、フランシスは子供に会いに。
しかし短気なマックスは喧嘩っ早く
なかなか旅が思い通りにいかない。
二人の心情の変化(特にマックス)が見どころ。
最初はフランシスを警戒しているマックスが
彼に心を許すシーンがいくつかあります。
まずフランシスを「ライオン」と呼ぶところ。
「フランシスは女みたいだから、他のが良い」
なかなか失礼な入りですが、彼に少し気を許したのは確か。
そして刑務所の中。
刑務所の中でとある事件が起きるんですが
ここでマックスは、フランシスに心を開く。
フランシスの優しい人柄にも注目。
そして出所後の、バーの中。
今までのマックスでは考えられない行動に出ます。
どれだけフランシスのことを大切に思っているか。
そしてフランシスが子供に会いに行ったあと。
ここでマックスは確実に彼に心を開いています。
というより、彼に対して絶大な信頼をよせています。
「俺一人じゃ洗車屋はできないぞ」
二人の仲がどれほどのものかが窺えます。
最後はラストシーン。駅の中。
「往復ですか？」「往復だ」
中盤までのジーン・ハックマンの印象は最悪です。
面倒くさくて陰湿なオヤジでしかないんですが
後半はもう、大好きになっています。
ここまで印象が変わるのも珍しい。
パチーノは終始明るくて楽しげですが
デトロイトで、様子が変わります。
そこからはパチーノの真骨頂です。
噴水広場でのシーンはパチーノでなきゃできない。
言葉にはしないけれど
どれだけ互いを信頼しているか
気を許せる「親友」がどれだけ大切か
こんな友達、1人いれば十分でしょう。
途中まではロードムービー色が強いですが
後半からの心のエグられ方は凄い。
これが、ニューシネマです。
簡単に安心しちゃいけないよ。
そして今作の一番のセリフ回しは「カカシ」。
「カカシは何で Scarecrow っていうか知ってるか？」
ここのセリフ回しはオシャレだなぁと。
名優二人の演技が素晴らしい作品。
ストーリーも一度見たら忘れられない。
