Antaress

スケアクロウのAntaressのレビュー・感想・評価

スケアクロウ(1973年製作の映画)
3.8
最近テレ玉で懐かしのドラマ俺たちの旅を放送してるんだけど中村雅俊演じる主役のカースケと言う男に毎回イライラしている。
自由を求めるモラトリアムな生き方を貫きたい気持ちは分かるのだが女からしてみたら生活力の無いフラフラしたダメンズにしか思えない。

スケアクロウの男二人も正にそんな感じ。マックスの背景は詳しく描かれてはいないがライオンの生き方は本当に腹が立つ。
家出しておいて今更妻子に会いたがり、(元)妻に『子どもは死んだ』と聞かされると速攻でアタマがおかしくなるって何なん?勝手過ぎるだろ!

と、そこは置いといて全体的な雰囲気は好き。

筋肉も贅肉もたっぷり付いてるのに何故か極端に寒がりのマックス。彼は服もボロボロでヒッチハイクで埃だらけになってもシャワーも浴びずベッドに入る。

片やライオンはモーテルで自分の服を洗濯しシャワーもキチンと浴びる。マックスが女とコトに及ぶ前に「靴を脱げ!手を洗え!」と衛生観念がしっかりしている。
そんなキッチリした性格なのに何で妻子を捨てるかな?

久々に観たこの映画でしっかり記憶にあったのはライオンが噴水に入るシーン。あのアル・パチーノの演技は鮮烈に印象に残ってた。

ハックマンの男性ストリップも可愛い。

ライオンの息子役の男の子、大きなタレ目がパチーノそっくり。

男二人のロードムービーで真夜中のカーボーイやレインマンと雰囲気が似ていたりもするけれど、とにかくスケアクロウのライオンには共感出来ない。

マックスにもこんな奴ほっとけと言ってやりたい。

究極の自由を求めるなら家庭なんか持とうとしちゃダメってことよ。


てか実を言うと中学時代に本作を観た時はもっと評価が高かったのだ。それから半世紀も過ぎて人生色々経験した結果、ダメ男に対する嫌悪感が増大したのですわ。
現実から逃げる男、家族を守れない男が大っっっっっっっ嫌いなのさ。


冒頭のタンブルウィード、いつか本物がコロコロ転がるとこを見てみたい。

希望をほぼ感じられないエンディングはいかにもアメリカン・ニュー・シネマで良いな
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