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女必殺五段拳のcatmanのレビュー・感想・評価

女必殺五段拳(1976年製作の映画)
3.5
1976年公開。女必殺拳シリーズとして括られてはいるものの実質的には独立した作品。これまでずっと香港人を演じていた志穂美悦子が京都の呉服屋の娘という設定で、冒頭から艶やかな着物姿を披露してくれる。京都弁もチャーミング。他にも東映の撮影所に潜入する際に凛々しい小姓姿になったりして、やっぱりこういうコスプレ要素があるのはファンにとって素直に楽しいし、シリーズを連続で観てそのマンネリズムに退屈していた自分には嬉しい変化球だった。今回は劇伴を鳴らし過ぎる煩わしさもなく、ジムが襲われるシーンで流れるメロウなトラックには痺れた。

全体的にはアクションやエログロ要素が過去作に比べて激減しているため、単体で観た場合には満足度は低めかもしれない。やたらフィーチャーされる渡瀬恒彦も暑苦しい芝居と相まって鬱陶しい。アクションも頑張っているんだんけど、お前のじゃなくてえっちゃんのを観たいんじゃ!ってなる。とは言えクライマックスの日本刀を振り回しての大立ち回りは迫力満点で良い。えっちゃんのアクションは控えめながら、ドラマパートの彼女の演技を落ち着いて観られるのは乙なもの。出て来るキャラクター全員やたらクサい芝居が目立つこのシリーズにおいて、落ち着いた台詞回しとやり過ぎない表情作りという彼女の静的魅力を際立たせている。演技が平板なわけではない。と思う。ラストシーンは唖然。
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