イチロヲ

女必殺五段拳のイチロヲのレビュー・感想・評価

女必殺五段拳(1976年製作の映画)
3.5
武道に秀でている京都織物問屋の一人娘(志穂美悦子)が、友好関係にある混血の兄妹と交流するうちに、麻薬密輸組織の陰謀に巻き込まれてしまう。アクション女優・志穂美悦子をフィーチャーしている、女必殺拳のシリーズ第4弾。続編ではなく、単独の作品。

前作までは香港が絡んでくるシナリオになっていたが、本作ではアメリカが絡んでくる内容に変更されている。沖縄出身者の兄妹(容姿が黒人と日本人に分かれている)を登場させることにより、被差別者の視線を取り上げていく。

アクション映画にしては、全体的に地味な仕上がり。中盤まで格闘シーンが出てこないし、既視感たっぷりの犯罪劇と退廃ムードが淡々と続くのみ。渡瀬恒彦が予想通りの結末を迎えるけれど、そこは様式美として楽しむべし。

格闘が始まりそうで始まらないという焦らしプレイを受けることになるが、マンネリ化からの脱却が随所に垣間見られる。志穂美悦子の「静かな演技」を観るための作品として割り切れば、こういうのもアリ。
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