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女必殺五段拳のドントのレビュー・感想・評価

女必殺五段拳(1976年製作の映画)
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 1976年。志穂美悦子「女○○」モノの4本目。とは言え3までの女捜査官・紅竜とはうって変わってこちらは空手大好きな呉服屋の娘さん。親友の擬似的兄妹が絡む麻薬の密輸を暴こうと、見合い相手として紹介された麻薬Gメンの言うことも聞かず素人暴力探偵をやっていく。 
 前年の『華麗なる追跡』の流れを引いて、これまでのエログロはほぼナシとなり明るいトーンが混ざる。高名な空手家だったはずの鈴木正文がアクションもなしに東北弁のお父ちゃん役でコメディリリーフとして出てきてこれがけっこう楽しい。和服から侍まで志穂美の七変化も華やかでいい。
 でも擬似兄妹の受ける差別や彼らの顛末、麻薬Gメンから旧時代的なことを言われてシュンとする志穂美など重苦しい場面もあってどうもチグハグである。さらにそのGメンが渡瀬恒彦だってんだから画面にちょいちょい殺意が走るし彼の拳は「マジ」なやつなので怖いのである。しまいには刀まで振り回すし。こわいよ。
 コメディタッチな冒頭からしたら、真面目な渡瀬の捜査を素人探偵の志穂美&ミッチーがかき回して最後は三人揃い踏み、悪党全員フルボッコ、みたいなんを期待していたのだが。「アクションだけでないエッちゃんを可愛く前面に押し出したい」のはわかるし確かに可愛かったけど、どうもどこに行きたいのかよくわからない惜しい映画なのだった。大立ち回りの舞台が撮影所なので相当な早撮り・撮って出しなスケジュールだったのだろうなァ。
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