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ガンジーのTPのレビュー・感想・評価

ガンジー(1982年製作の映画)
4.4
★1987年に続き、2回目の鑑賞★

 インド独立運動の指導者マハトマ・ガンジーの、イギリスの大学卒業後に南アフリカの弁護士になるところから、1948年に暗殺されるまでの55年間を描いた3時間超の大作。アカデミー作品賞、監督賞、主演男優賞など8部門を獲得。

 最終的にインドとパキスタンとの分離独立になったところなど、少々わかりづらいところはあるものの、ほぼ史実に忠実に映像化され、3時間強という尺もあってとても理解しやすく、伝記物として秀逸な内容の作品。

 まず、主役のキングズレーの役作りが凄まじく、進むにつれ、ガンジー自身としか感じられずに進行していくことが本作の出来に大きく寄与していることは間違いない。
 また、ショッキングな内容も含めつつも、感動的な描写を極力抑えたアッテンボロー監督(「大脱走」の国境付近で射殺される役の人と知った時、かなりビックリした)の手腕も見事。

 36年ぶりに観返して気づくのは、共演者たちの豪華さ。イギリスの舞台俳優の重鎮が大挙して出演。
 また、右腕となったネルー役のロシャン・セスはこの後、「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」で忘れ難い悪役を演じているし、キャンディス・バーゲン、マーティン・シーン、前年に「炎のランナー」で主役を演じたイアン・チャールソンなど、贅沢な使い方。ダニエル・デイ・ルイスもちょい役で出演。
 舞台シェイクスピア俳優であり、本格的な映画出演が初めてだったキングズレーを盛り立て、長時間ダレることがない。

 結局、ガンジーとその側近の力では理想とする国家設立にたどり着けなかったのだが、それでも3億5000万人というインドを独立まで指導したという行為はやはり偉大であり、不世出の偉人であることが良くわかる。
 また、映画の中では、ガンジーは自身の持つ力を十分認識した戦略家でもあったこと、自分の理想にとらわれ過ぎていたことなどもかなり微細に描かれていることも再認識。
 長尺故、すぐに繰り返し観たいとは思わないとはいえ、この類の映画として最上級の一本である。
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