チッコーネ

黒い賭博師のチッコーネのレビュー・感想・評価

黒い賭博師(1965年製作の映画)
4.0
シリーズものの進退がかかった2作目だからか、任された監督の集中力がすみずみにまで行き渡っており、日活アイドルアクションの中ではとても良い出来。
数多く用意されたセットの中でかなり細かく撮影が行われているほか、競馬場からホテルのプール、空撮の高速道路から会館の屋根までとロケ撮影も豊富にインサートされており、編集は非常に軽快。

小林旭は本作の撮影時、かなりふっくらしているが、青臭さが後退しており却って好印象。
ダイヤモンドラインの中では最も歌がうまく、チャキチャキのオープニングテーマはいま聞くとお洒落、彼らの楽曲の中で初めてDLしたいと思った。
明らかに『予期せぬ出来事』のリズを意識したスタイリングが充てられている富士真奈美の健闘は、意外な驚き。
舞台からテレビ専属という、この時代においては先鋭的なコースをたどった彼女のさほど多くはない映画出演作だが、暗い過去を持つ女の思い詰めた挙動は非常に魅力的。
乱れ髪に平手打ちの跡がついた顔をカメラに晒す冒頭、甘美な屈辱すら漂わせる小林旭との青姦場面が特に素晴らしい。
また野呂圭介から無名の外国人女優まで、チョイ役を十二分に活用する演出力も見事。