イチロヲ

発禁・秘画のおんなのイチロヲのレビュー・感想・評価

発禁・秘画のおんな(1983年製作の映画)
4.0
義父(高橋明)との姦通を強いられている富裕層の夫人(仁科まり子)が、左翼運動家の青年(中田譲治)から肉体関係を迫られてしまう。大戦前夜の日本を舞台に、真の愛情を得られない女性の葛藤劇を描いている、日活ロマンポルノ。

上流階級の人間たちを、愛欲と金欲に蠢く、有象無象の輩のように描写している作品。男の人生を破綻させてしまう「魔性の女」に、第三者となる青年が接近。主従関係が心的に入れ替わるパターンを踏襲している。

女優陣では、本物の女子学生にしか見えない、山口千枝の痩身が美しい。ブラコン気質をもつ義妹を溌剌と演じており、兄嫁である主人公夫人に陽動を仕掛けてくる。忘れた頃に登場する、三崎奈美の熟れたエロスにも注目。

エロティック・ドラマの王道パターンと、有事に突入する直前の退廃がミックスされており、独特の雰囲気に満ち足りている。飽和状態ではあるものの、ロマンポルノの底力を感じ取ることができる。
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