シンタロー

恋のシンタローのレビュー・感想・評価

(1971年製作の映画)
3.7
ジョセフ・ロージー監督×ジュリー・クリスティー主演。
もうすぐ13歳になるレオは、上流階級の友人マーカスの屋敷でひと夏を過ごすことになり、マーカスの姉マリアンの清楚な美しさに淡い恋心を抱く。マリアンは、夏服を忘れてきたレオを街に連れて行き、服を新調して弟のように可愛がる。レオは、マリアンやマーカスらと泳ぎに行ったとき、小作人のテッドと会う。街でマリアンとテッドが親しげに話しているのを見ていたレオは、マリアンに尋ねるが「前に会ったかしら」とはぐらかされる。ある日足を怪我したレオは、テッドに手当てしてもらう。お礼としてマリアン宛の手紙を渡すのを引き受けるのだが…。
カンヌでパルムドール受賞の名作ですが、ジョセフ・ロージー監督らしい皮肉と毒気が散りばめられていて、ずっとざわざわ。憧れのマリアンのためにと、健気に配達役を続けるレオが不憫で、胸が痛みます。レオが純情で無知なのをいいことに、利用し続けようとするマリアンとテッドは胸クソ悪く、レオが配達役を断ろうとすると逆ギレ…いい加減にしろ!身分違いの恋?勝手にしな!って感じです。レオ以外悪意に満ちている人物描写、不安を煽り続ける不穏な音楽、中盤から表れる違和感の続くカット…監督の冷徹な構成がスリリングで、結末まで目が離せない。これは単なるラブストーリーとは言い難く、邦題は何か違うと思いました。
主演のジュリー・クリスティーは、この時点で既にオスカー女優で演技力は折紙付。幅広い役柄、ジャンルをこなせて、晩年も息の長い活躍をされてます。本作は失礼ながら意外と綺麗に撮ってもらえてると思いました。いつも通り男前で色っぽいアラン・ベイツですが、全く共感できない役なので今回はちょっと…。マリアンの母役、マーガレット・レイトンの常に不機嫌、不信に満ちた芝居が強烈な印象。ある意味主役のレオ役、ドミニク・ガードは素晴らしい熱演でした。
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