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恋
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『恋』に投稿された感想・評価

尋常ならざる傑作です。これがジョセフ・ロージー監督と脚本家ハロルド・ピンターとのコラボレーションのベスト!もちろん、『召使』(1963年)も素晴らしい。しかし、ちょっとあざとい感じがしないでもない。本作ではとても自然にジョセフ・ロージーとハロルド・ピンターの世界観を作れています。

本作は『唇からナイフ』(1966年)を含めれば四作目のハロルド・ピンターのコラボレーションとなります(ノークレジット)。『召使』では駆け出しの脚本家だったピンターですが、本作では堂々としたテーマとストーリー展開です。さらに、『できごと』(1967年)では今ひとつだった撮影監督ジェリー・フィッシャーですが、ここではロージーにしっかりついて来て素晴らしいカメラワークを見せます。

原題は"The Go-Between"です。つまり、「仲介者」。上流階級の娘マリアン(ジュリー・クリスティ)と農夫テッド(アラン・ベイツ)の間を取り持つのが本作主人公のレオ(幼少期:ドミニク・ガード/中年期:マイケル・レッドグレイヴ)です。まだ階級社会のイギリス。身分の差がある実らぬ恋。果たして、マリアンとテッドは結ばれることができるのか?そこで果たすレオの役割は?……という話です。

■ストーリー■
まず、ストーリーが一筋縄では行きません。現代から過去を振り返る形式なのですが、それが途中までわかりません。観る側は「あれ?なんかおかしいな?」と違和感を抱く作りとなっています。あまり多くの情報は鑑賞の邪魔となるので、ストーリー解説はこれくらいで。

■キャラクター造形■
キャラクター造形も巧みです。あまり説明しすぎるのはよくないのですが、例えばレオはすごく複雑な設定です。上流階級に属していたものの、父親が亡くなり母親だけでは育てられなくなった。そこで、友人の家に預けることにした。その預かった家が舞台となっています。子供心に自分が置かれている状況は理解しているレオ。上流階級と下流階級の「仲介者」でもあるわけです。さらに、レオは黒魔術を操り呪いをかけることもできます。まあ、子どもの遊びだと思うじゃないですか。これが結構マジです。

■テーマ■
現代から過去を振り返っているのですが、ストーリーはほぼ過去です。ノーフォークの暑い夏。それが数分の現代の展開へと集約されていきます。そこでレオの黒魔術設定も活きてくる。「呪い」ってなんなんでしょうね。そうですね、テーマは「呪い」なのかもしれません。それは黒魔術的な呪いではなく社会の呪いです。例えば、階級社会なんかも「呪い」でしょう。

■撮影技法■
本作では『召使』でもよく使われた撮影技法がたくさん登場します。あれは『召使』で撮影監督を務めたダグラス・スローカムのものだと思っていたのですが、ロージーの特徴だったのかもしれません。本作で撮影監督を務めるジェリー・フィッシャーはその要求によく応えています。

『召使』の撮影技法の特徴は以下でした。

A)ハンディカメラによる長回し
B)極端なクロースアップの多用
C)照明を使った効果的な陰影の転換

C)照明を使った効果的な陰影の転換は室内劇だから効果的な手法でした。本作は屋外がほとんどですので、特徴は以下となります。

A)ハンディカメラによる長回し
B)極端なクロースアップの多用
D)極端なロングショットの多用

ノーフォークの田園風景がもう一つの主人公ともいえる映画ですので、それを捉えるために人が豆粒にしか見えない極端なロングショットが多く使われます。ちなみに、ノーフォークは(当時は)昔のものがたくさん残っている土地だったようで衣装なんかも現地で調達できちゃったのだそうです。

上流家庭の庭を映すのにもA)ハンディカメラによる長回しは非常に効果的でしたね。移動ショットが素晴らしい。
 恋。

 なんてありふれたタイトルなんだろう!と思ってフィルマで検索してみれば「恋」と言う字を含んだ映画は数えきれず出てくるけれど、一文字で「恋」は他に邦画で2本しか見つけられなかった。先に取ったもん勝ち?

 まだ性を知らない12歳の男の子が、大人の女性に淡い恋心を抱く。これまたありふれたシチュエーションで、ラウラアントネッリの「青い体験」を筆頭に食傷気味では?とさえ思ったのも途中まで。ラストに向けての怒涛の展開が凄かった。
 「ラスト〇〇分、衝撃の…」みたいなキャッチコピーが付いても不思議ではないほどのクライマックス感。ハイスピードカメラのごとくインパクトある撮影に息を飲む。

 イギリスの大女優ジュリークリスティと「まぼろしの市街戦」のアランベイツ、これに絡むのがエドワードフォックスと英国の誇る名優が揃い、男の子の目を通して大人の男女の歪なロマンスを描く。
 そこに片田舎の貴族へのシニカルな視点を入れるのがイギリス流。淡々とした中にもそれぞれの胸中に去来する熱いモヤモヤがジンワリと伝わる不思議な魅力を持った映画だった。
 もちろん淡々とした描写もまたイギリスらしく、苦手な人は退屈に感じるかもしれない。

 そしてやはり特筆すべきはミシェルルグランのサントラ。切なくて哀しくて、でも甘美な香りと気高さを持った曲を作らせたら彼の右に出る者はいない、というのがここでもはっきりとわかる。

 「過去は異国である」という名フレーズが心に残る、少年のひと夏の経験を記したジュブナイルの傑作。まだまだ知らない映画がたくさんあって、出会う喜びは尽きないなぁ。
ninjiro

ninjiroの感想・評価

3.7
過去は異国に等しく、全てが今とは別物

ヴィクトリア朝時代の名残を残すノーフォークの広大な農地を地主として治めるモーズリー家は、保有するその莫大な資産により豪奢な邸宅に住み、幾人もの使用人を養い、傍目には疑いなく何不自由なく暮らす富裕層であるものの、満ち足りた環境が故に齎される倦怠の余りに未だ足りない僅かなものへの執着に取り憑かれた魔物たちである。
優雅にして他に呻吟するものなどないが故に、裏を返せば尚更にその闇は深い。
一家の一人娘マリオンは一家の所有する農地の小作人に過ぎない男・テッドの野生に執着し、母親は一家に足りない爵位に執着し、子爵・ヒューと娘マリオンの滞りない婚姻を願ってやまない。

物語の骨組み自体は「身分違いの許されぬ恋」という古来より使い古されたロマンティックなモチーフをベースとしているが、そこに一家の末っ子マーカスの友人として夏休みの間ゲストとして招かれた幼き主人公・レオがマリオンに恋心を抱き、その純真がそうした使い古しの物語がいよいよと進行して行く中で幾人もの大人の思惑に思うように利用され、ズタズタに切り刻まれる様子が交わることで、その印象は全く異質なものとなる。

物語上、本来優雅である筈の上流階級の日常は毎日が重苦しい倦怠の雲の下にあるように描かれ、一夏の短い期間にも毎朝のように「さて、では今日は何をしましょうか?」という暇潰しの模索から始まり、自分より身分の卑しい者に対してここぞとばかりに自らの空しき存在意義を顕示し、その排他的な本質を隠して寛容であろうとする滑稽な醜さが執拗に描かれる。

支配層に対しての皮肉だけではない。
被支配層に属するテッドも、レオがマリオンに対して抱く好意を明らかに認識しているにも関わらず、その好意を己の欲の為に徹底的に利用する。

全ての批判の矛先は、他者がその内心に抱く想いに対する無関心へと向けられている。

報われぬ恋とは当に呪いである。
あからさまな呪い、祈祷には予め捧ぐべき生贄や供物があるように、失うべくして失い、傷つくこと無くして得るものは無い。
それと知りつつ報われぬ恋をするものは、生涯に渡って未昇華の想いとの付き合いを強いられる。
本作で示される恋は、恋と呼ぶには余りにそれを抱く主観に施す手段なく、余りにその手札は汚れ過ぎた。
恋という感情に挑むにはある程度、勝てる見込みのあるカードが必要なのだ。

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