1986年公開の篠田正浩監督作品ですね。私は80年代後半はほとんど映画を観ていなかった時期だったので、タイトルすら知りませんでした。今回のWOWOWでは郷ひろみ特集ということで放送されたようだけど、そんなアイドル映画と思ったら大間違いでしたね。
篠田監督としては、代表作の『心中天網島』と同じ近松門左衛門の浄瑠璃を映画化したもので、様式美や映像美を堪能できるアート系の時代劇。鈴乃屋提供のカラフルな和服の美しさは、それだけでも芸術的と言えるほどだったし、茶道具や屏風なども美の創出に一役買っていました。そして、それらを的確に捕らえた宮川一夫カメラマンの腕もさすがで、もし劇場で観ていれば、ため息が出るほどの美しさを味わえたかも知れませんね。ベルリン映画祭で芸術貢献賞を受賞しているようだけど、それも納得でした。
郷ひろみは、さすがにこの名優たちの中に交じると、大根ぶりが目立ってしまう感じだったけど、ヤリが得意でイケメンで、女にはモテるけどだらしない人柄の役なので、それなりかなという感じもしました。
