Sari

チャップリンの黄金狂時代のSariのレビュー・感想・評価

チャップリンの黄金狂時代(1925年製作の映画)
4.1
2018/01/19 シネフィルWOWOW

「黄金狂時代 」The Gold Rush(1925年/米)
監督・脚本・主演
チャールズ・チャップリン

金鉱を目指しアラスカにやってきた探検家のチャップリン。
雪山で遭難し小さな山小屋に辿り着く。
山小屋の主人は狩に出かけたきり戻らず…
偶然にもう1人の探検家の大男とその山小屋で生活をする事になる。しかしあたりは雪山。食料があるはずもなく、2人は空腹に耐えきれず…

飢えや孤独などに翻弄されながら、黄金を求めて狂奔する人々をチャップリンならではのヒューマニズムとギャグで面白おかしく描いている。空腹のあまりにチャップリンが靴をゆでて、靴底の釘を鶏肉の骨のようにしゃぶり、靴ひもをスパゲティのように食べるシーン。本当に食べているのには驚愕!

街の酒場の踊り子のジョージアに恋をしたチャップリン。
彼女を大晦日の夜、山小屋に招待。部屋の飾り付け、ディナーとプレゼントを用意した。
しかし待てど暮らせど彼女が来ないまま1人待ちぼうけ…。
気がつけば夢の中でロールパンにフォークを刺して靴に見立てちダンスしているチャップリンの、コミカルでありながら哀愁漂う表情が一段と切なさを増しホロリと泣ける…。

傾いた山小屋のシーンは懐かしいお笑いのセンスが一杯で爆笑せずにはいられない。
日本の多くのコメディアンにオマージュされていると後に知った。
他にも何世紀先にも語り継ぎたい名場面が沢山詰まっている。

貧困から、大金持ちになるまでの過程を描いたサクセスストーリーだが、どんなに惨めで苦しい状況でも、笑いに変え決して諦めない姿に勇気と愛と感動を貰った。
チャップリンが監督、脚本、主演全てをまかない、サイレント映画ながら見始めたら最後まで飽きる事がなかった。
チャップリンの喜劇王としてのセンスと才能には脱帽しかない。
今後、チャップリンの様な天才は現れないと実感した傑作だった。
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