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おくりびとのmalのレビュー・感想・評価

おくりびと(2008年製作の映画)
4.0
面白かったです!ちょっと昔の作品なので、2022年現在にアップデートされた常識やモラルと少し違うところがあったりなかったり。
オープニングの納棺の様子からぐっと引き込まれました。納棺の所作が美しい。でも「ついてます」のところはなんとも微妙というか、気軽に流すには私は知りすぎてしまったというか。ギャグとしては見ちゃいけないと思うし、かといってありえないシチュエーションじゃないから真剣にすべきところでもあるのに若干ウケをねらっているような演出に見える気もしないでもないし。んー繊細なところ!そしてご遺体の奥さんのセリフは最悪…。
登場人物が魅力的!NKエージェントの方たちがすごい好き。社長役の山﨑努さん、事務員役の余貴美子さん、どちらも本当に役はまっていて。到着5分遅れて怒っていた喪主の人とあの一連のシーン、すごい好き。キャラクターとしてはちょっと薄いかなーと思うんですが、広末涼子さんはめちゃくちゃかわいい…!お風呂上がりのシーンのところ、露出は全然ないのに色々素晴らしすぎて、尊い。
納棺師に対する差別って劇中で描かれるくらい現実でもひどいものなのでしょうか。時代や環境でだいぶ違うと思いますけど、必要な職業ですよね…。ただ、生理的に受け入れられないものに対してどう向き合っていくのかは考えさせられました。しかし話はそういった感情について深く切り込んでいく感じではなく、正直かなり浅いところで止まっています。特に主人公の妻や友達が持つ職業差別意識に対してはこんなんで解決されちゃうの、と思うぐらい拍子抜け。現実ならもっと色々あるのでしょうが。個人的にはもっとそこを深く描いてほしかったです。
「手」をとても意識させられます。ご遺体に触る時、おにぎりやフライドチキンなどを食べる時、主人公とその妻が触れ合う時、チェロを弾く時となど、多くのシーンでその動作を行うのがいつも素手。死も含めた人間の営みを素手で体現してるのかなと思いました。
チェロの演奏は実際に弾いているわけではなく、本木さんの演技だそうです。言われなきゃ全然わからん!すごい!
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