納棺師の話。
思いっきり“間”を取って、ゆったりと進んでいくのが特徴ですが、
元木、広末の夫婦2人のシーンなどは、
間を埋め切れていないなという感じがしました。
山崎努とか、余貴美子とか、深みを出せる役者はいいのですが、
広末涼子は深みがないのが長所みたいなもので、ちょっと厳しいかなと。
人の生死を正面から扱っているので、相応の感動はあるのですが、
長い時間の流れの中で積み上げられてきた厳かな様式の中に、
凝縮された人の生きざま、人々のいとなみを見て感動するのであって、
作品自体の流れが生み出した感動と言えるのかは疑問です。
前段の特にユーモラスなシーンにはあざとさが目立ちました。
ただ、終盤、本木の目から一瞬にして鼻筋を通過した涙は、
とても美しく、心打たれました。