ハリマ江戸

おくりびとのハリマ江戸のレビュー・感想・評価

おくりびと(2008年製作の映画)
4.3
音楽家の大悟(本木雅弘)が楽団の解散に伴い、妻(広末涼子)と実家の山形に帰り、納棺の仕事につく。
故郷で、納棺に対する周囲の冷たい目、また、小さい頃失踪した父への思い、一人で育ててくれた母を看取れなかった後悔、などを乗り越えながら成長していく姿を描いたヒューマン映画。

死にまつわる職は、いつの世も蔑まれる。納棺に際し、死者を生前の姿にうると遺族から感謝される=納棺の仕事を理解してもらえる。
偏見がやがて理解へ。

芸人の葬式は、笑ってやってなんぼって、誰かが言うてたけど、葬式は厳かに送るものという変な固定観念は、いらない。死者の死を遺族が受け入れることが大事。
生きていた元気な時の姿に時を戻し、思い出の姿で見送ってやるのが
死者に対する敬意なのかも。

あらすじ~~

東京から山形に戻って二か月が過ぎようとしていた。
納棺。

大悟は、妻美香と東京で二人暮らしの共働き。
東京都の交響楽団でチェロを演奏していたが、経営難・・楽団は解散。
彼は、チェロを新調したばかりだった・・。
1,800万円の借金・・・。
妻の仕事Webデザイナーでは返済できず、実家の山形へ帰ることに。チェロも売却し、音楽の道を諦める。
実家は母がやっていた小さなスナック跡。

チラシをみると未経験者可の募集。とりあえず条件だけ見て応募へ。
旅のお手伝いをする仕事・・・納棺。

人生最後の買い物は他人が決める・・・。

初めての仕事は・・・説明DVDの被写体。
そして、初仕事、死後二週間たった老婆、グロさに吐いてしまう。
匂いはとれず・・銭湯で身を洗うことに。
同級生山下との遭遇、今の仕事を言えぬまま別れてしまう。

夜食でも鳥肉を見て嘔吐、仕事への苦悩。
母を看取れなかったことへの後悔が・・。
衝動的にチェロを弾く。

この職業は、冷たくなった人間を蘇らせ永遠の美を与える。
仕事を通じて個人の遺族から「あいつ今までで一番綺麗でした・・」と。

父の残したレコード、憎い父の遺品を大切にしてい母。
「おかあさんはお父さんを変わらず愛していたんじゃない?」と妻。

駅前のホテルで首つり死体。一人で対応するまでになる。
会社の助手上村さん、昔、スナックに流れ着き、そこのママが突然死。
それを社長が納棺していた。(ママ=大悟の母??)

同級生山下と偶然出あうと、葬儀の仕事を卑下される。
そして、妻に仕事がばれる。
恥ずかしい仕事、こんな仕事を辞めてもらいたいといわれる。
大悟は、それでも辞めない。 
妻は実家に帰ることに。「汚らわしい・・・と」
大悟は辞める決心をする。

社長に相談する中で、彼の先だった妻が、自分が初めて綺麗にし、送り出した一人目のご遺体であることを知る。

実家に帰っていた妻美香が突然帰ってきた。
懐妊の報告にきたものの、仕事はやめてもらいたいと。

そんな中、お世話になった近所の銭湯のおばちゃんが亡くなる。
山下の母、大悟が納棺を行う。
妻も同席。

銭湯の常連にして焼き場の職員。彼はいう、
死は門。潜り抜けて次に向かう。「いってらっしゃい、また会おう」

そして、長年音信不通だった父の死が電報で告げられる。
ずっと、一人で漁師をしていた・・・。

いしぶみ
太古の昔、文字がない時代は、思いをそれに近い石で伝え合った。
大悟と父は、大悟が小さい頃、たった一度だけ、それを交換した。

父の納棺を自分が引き受けることに。
その手には、幼きころ交わした石が・・・。
お腹の我が子にその石を引き継いでいこう・・・。
ハリマ江戸

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