お話探し

素晴らしき放浪者のお話探しのレビュー・感想・評価

素晴らしき放浪者(1932年製作の映画)
4.0
「救うなら同種の人間に限る」
「それが無難ね」

もうとにかくこの浮浪者ブーデュの強烈なキャラクターにやられた。
悪魔のようにこちらの神経をいちいち逆撫でしながら、
上流階級の虚飾や欺瞞といった「嘘」をずけずけと暴いてくる。
「ダークナイト」ジョーカー系譜の名キャラクターに思えた。
…と同時に、悪ガキや動物のような、奔放な愛嬌も兼ね備えている。
机の上に寝そべる様子など、殴りたくなる程イラっとさせるのだが、
やはりどこか可愛らしい。(だからこそタチが悪いのだが…)

助けてもらった事に対し、感謝の言葉を作中一度も口にしないが、
そもそも頼んだ覚えはないのだ。
「人は助け合うものじゃないか」という言い分で富裕層の男が
勝手に手を差し伸べてきたのだ。
「俺は死にたいんだ」「俺がいちゃ迷惑だろ」に対し、
「まぁそう言わずに」と、言質も取ってある。
なら、遠慮せず伸び伸びさせてもらいますけどぉ?

『…にしたってお前…』

というヒジョーに意地悪な1本でした。w

奇しくも「格差社会」「勝ち組の暮らしを乗っ取る」といったテーマの
潮流がきている今、観てみると面白いかもしれません。
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