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カンフー・パンダ2のLCのレビュー・感想・評価

カンフー・パンダ2(2011年製作の映画)
3.5
面白かった。

前作の映像的魅力を意識して持たせているように思う。色使いとか2D部分とかアクションとかとか。
深刻になり過ぎず、クスッとしながら物語を追っていける塩梅も健在。

お父さんが豆腐も売ってるの、とても嬉しくなる。息子さんの生き様に背中を押されましたね!「私が豆腐なんて…ハハ…」と言って俯いていた姿を覚えていますよ、だから尚のこと喜びが溢れる。
そんなお父さんが、どのように息子さんと出会い、接してきたのか、お話が聞けてそれも嬉しい。竹製の家具を揃えるとか、本当にパンダくんのこと必死で考えてたんだろうな。

孔雀さんは、何だかんだ周囲に話し相手は居た。占い師さんもそうだし、狼さんも面白い。孔雀年、そういえば無いねえ。猫さんの話が有名だけど、十二支の話にはいたちも絡んでいるらしい。
1番に着いていたけれど、寝落ちした。神様が温情をかけて、各月の初日を「ついたち(つ・いたち)」と呼ぶようになったなんて、面白いお話も目にしたり。いやそういう話をしたかったんじゃねえんだわ、わかってるぜ、孔雀さん。
占い師さんに至っては、ハッキリと「あなたの幸せを願う」と言ってくれて、孔雀さんが1人で考え過ぎそうな時はいつもちょっかいかけにくる。
ただ、孔雀さんは、拒絶してしまった。あたたかい存在が側に居ることで安心を得ることが難しい。彼はずっと、自分の抱える傷を、心の穴を見つめていたから。記憶の中の両親を、ずっと追いかけていた。どうして離れて行っちゃったの?

主人公は、好きなものを通じて、自信も仲間も得ることができた。
傷が最初からなかったような状態にはならないけれど、心の穴に吸い込まれずに済んだのは、カンフーのおかげなんだろう。彼にとって、カンフーは全てだから。見出してくれて、鍛えてくれて、談笑してくれて、隣に並んでたたかってくれる。
カンフーがそのように受け入れてくれたのは、素直に育つことができたという部分が大きいのではないか。たくさん食べて、他愛のない話をして、実の息子として当然のように扱われてきたから。お父さん…!

内なる平和は、何も知らず、何も見ず、そうすることで得られるものではない。
乗り越えた先にあるものだ。
それを知らなければ、どんなに修行しても内なる平和は掴めない。そして、1度掴めれば、掴み方も維持の仕方も見えてくる。
それは、今の自分は揺るがない、と感じられるということだ。どんなに辛く苦しいものに脅かされても、僕はポーだよ。食べることとカンフーが好きで、ちょっと調子に乗ることもある、ラーメン屋の大きくて柔らかい息子。今の僕を否定することはできないよ、だってこれが僕なんだもの。
孔雀さんは、ずっと脅かされていたんだね。否定されてしまう、もっと強くなければいけない、完璧でなければ。
そして、あの時、目を閉じて受け入れたんだね。

師匠さんが相変わらず可愛い。
前作でも、怒って顔をぐいっと突き出す時とかにお耳が後ろに畳まれたり、可愛いが過ぎる方だった。
今作でもやはり可愛いな。師匠が駆けつけてくれるのって、本当に心強いし、嬉しいな。
自分が真ん中にいる主人公なのに、左右を見て、飛び込んでいく仲間たちのかっこいい姿にはしゃぐ弟子の、これぞ師匠。
私も、みんな大好きだぜ。
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