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カンフー・パンダ2のsugasanのレビュー・感想・評価

カンフー・パンダ2(2011年製作の映画)
3.0
※本レビューはジャン=クロード・ヴァン・ダムヲタクの妄言(めんどくさい話)が多分に含まれています。

アニメーション映画にヴァン・ダムが声優として出演する。

なぜ?

キャリア絶頂期のアイドル仕事ならいざ知らず、公開された2011年は『その男ヴァン・ダム』以降『エクスペンダブルズ2』以前という微妙な時期。
キャリア最低迷期のドン底からようやく抜け出す兆しが見えた頃だ。

カンフー映画にオマージュを捧げた本作にジャッキー・チェンやミシェール・ヨーの声優出演はまだわかるが、なぜヴァン・ダム?
頭から?マークが消えないまま兎にも角にも本作を鑑賞することにした。

結果から言うと本編を最後まで鑑賞しても「なぜ?」の答えが出ることはなかった。

ヴァン・ダム演じるマスター・ワニの出番は少なく、画面に映っている時間はあっても寡黙な設定なのかセリフは全編通して5個くらいしかなかった。

だが、最終決戦で主人公達を助けに現れたマスター・ワニがヴァン・ダムのトレードマークである意味のない(本当に意味のない)股割りを披露しながら「復讐の配達人!」とイキり倒した瞬間、スクリーンに映し出されているのはマスター・ワニではなくヴァン・ダムだった。

他の主要キャラクターが劇中の登場人物と演じる役者はあくまで≠である中、マスター・ワニはヴァン・ダムそのものだった。
製作者の粋な計らいに俺は泣いた。

アンジェリーナ・ジョリー、ダスティン・ホフマン、ゲイリー・オールドマン、そしてジャッキー・チェン。
錚々たる顔ぶれが並ぶエンドロールに燦然と輝く"Jean-Claude Van Damme"の文字。
俺は再び泣いた。

ハリウッド映画には「あの人は今?」的な過去のスターが持ちネタを披露して笑いを誘うシーンが度々見受けられ、本作のヴァン・ダム出演もそれらの一種なのかもしれない。

だが、死んだ目で激安Vシネマに出演を重ねていたヴァン・ダムがほんの一瞬だけかつてのスターの輝きを取り戻し、久しぶりのハリウッドメジャーのスクリーンに"Jean-Claude Van Damme"の文字を刻みつけた。
これは確実にヴァン・ダムにそして世界中のファンに自信を与えたはずである。

現在のヴァン・ダムは相変わらずハリウッドメジャーからの仕事はないが、『ザ・バウンサー』や『ネバーダイ』といった佳作に出演して評価を高め、Amazon primeやNetflixといった配信大手のオリジナル作品に主演。
順風満帆とは言えないまでも、惰性で激安Vシネマに出演していたあの頃よりも確実に生き生きとしている。

たとえドン底まで落ちてもかつての誇りを失わずコツコツと続けていれば、いつか必ず報われる。
そんなヴァン・ダムの姿を見て、俺もまた明日から頑張ろう。そう思えるのだ。
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