「歯車は唸りをあげて廻り続ける」
旧ソで公開が叶わなかったソクーロフ初期の代表作。原作はストルガツキー兄弟の『世界終末十億年前』。ある論文を手掛ける青年が種々の妨害、介入を受けていく様を描いた作品。原作及びストルガツキーの脚本からは離れ、ある種理詰めで「妨害」の所以を導くのではなく映画的なストーリーテリングを用いた映画となっている。
暴力的なカメラが落ちていく導入から、独創的な砂塵が常に舞っているような色調、強制移住を含む民族問題を一つの作品の中に幻想的な映像として収めている。「古儀式派」という権力から迫害と監視を受ける存在に言及することで作品の輪郭は明瞭になる。凄まじい作品を見ているのだろうという感覚がウィンドウを閉じるボタンを押した後にも暫く残る。