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日陽はしづかに発酵し…のmareのレビュー・感想・評価

日陽はしづかに発酵し…(1988年製作の映画)
4.0
セピア色のトルクメニスタン、理由のわからない不条理に襲われる青年医師、現れては消えていく人々、物語として整合性は一切保たれていないし訳もわからないが、フワフワと謎の居心地の良さを覚えるロシア映画。風邪の時に見る夢というか、朧げな意識の中で熱病と闘いながら見える景色のような色合いは独創的で美しい。原作はストルガツキー兄弟で他にもストーカーや神々のたそがれが映画化されているが、これも例に漏れず見終えたあとに呆然とさせてしまうパワーがある。静かな作風だがカメラは時に相当アグレッシブに動き回ったりもするし、これまで見たロシア映画の中では挑戦的な試みをしていると思う。考えるな感じろと言わんばかりのロシアの巨匠たちの共通言語に従えば、意味を見出そうとせずとも自然にどっぷり浸れてしまう。
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