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日陽はしづかに発酵し…の菩薩のレビュー・感想・評価

日陽はしづかに発酵し…(1988年製作の映画)
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一人の医者が研究論文を書きたいのに次々邪魔が入ってまったく進まないし、最終的に旅に出ちゃうお話。頼んでもいないエビが届く、呼んでもいない姉が来る、隣人が突然自殺したと思ったら死体が喋り出す、変な男に家に押入られたと思ったらそいつは殺される、家の前に少年が倒れてたから保護してやったら人生に絶望してて結局知らない奴が連れ去って行く。はてさて相変わらず何が起きてるのかは分かるけど何故起きてるのかはまったく分からないし何のために起きてるのかも分からないけど、トルクメニスタンを舞台にセピア色で描いたソクーロフ流のセカイ系映画とでも言うべきなのか?原作ストガルツキー兄弟だしタイプライターのせいでどうしたって『ストーカー』×『裸のランチ』って言いたくなる。ロシアとトルクメニスタンの関係性であったり、社会主義的世界の終末観であったりを悪夢的に表現してるなんて言ったらかなり陳腐な説明になるんだろうけど、まぁさっぱり分からないから放棄して、画面の吸引力に身を捧げる2時間。冒頭のパラグライダー撮影と言い、少年発見時の真上ショットといい、終盤の謎のドロドロ工場といい、うん、やっぱりこの人まったく手応えが無い!のに魅力的なのは何でだ!神秘的なんだなぁなんか。エビがゼラチンに包まれて来るんだけど、ほんとそんな映画。
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