ーcoyolyー

白夫人の妖恋のーcoyolyーのレビュー・感想・評価

白夫人の妖恋(1956年製作の映画)
3.5
なるほどこれが李香蘭こと山口淑子か。確かにこれは伝説。これは殺せない。殺したら内乱起きる。ヒロヒトと同じ理由で殺せない。

『李香蘭 私の半生』を読んだ時に彼女が死罪を免れた理由がふわっとしていてよく分からなかったんですよ。でもこれ本人が一番分からないわ、本人が一番語れない。要は「可愛いは正義」でヲタが殺さずに済む方法を何とかそれこそ死に物狂いで探したアクロバット擁護にも程がある屁理屈なんだもの。そしてその可愛さは本人があまり意識してない、認識してないから生まれる部分もある可愛さ。愛国無罪→李香蘭は実は日本人だった→じゃあ日本人なんだもの日本に対しての行動は仕方ないよ日本人が日本に対してだったらそれはやっぱり愛国無罪だよ、ってこれ、逆の立場の川島芳子よく引き合いに出されるけども、川島芳子が逆だったのは国籍じゃなくて「可愛いは正義」と逆の人だったからだよね。

でもいくらなんでもそんな天皇陛下レベルの守られ方されたのどうして?と腑に落ちないところずっとあったんだけど百聞は一見にしかずだな。うん、これは殺せない。無罪。無罪じゃないけど無罪。実質無罪。

この人の個性が儚げな美女だったらきっとあの時殺されてたんだよ。でも違うんだ。この人が放つ生命力の強さの圧倒的な輝き。大輪の真紅の薔薇のような個性。これは殺せない。強い。向日葵のような庶民的な強さではない、簡単に手出しできない高嶺の花の強さ。侍女役の若かりし八千草薫をモブにしてしまう強さ。八千草薫だってあの八千草薫なのに格の違いを見せつけてるって何事?八千草薫を屈服させる強さと美しさ。なるほどこれが李香蘭。お見それしました。スターってすごい。

あと、この映画は円谷英二もすごかった。昭和31年の円谷英二。
ーcoyolyー

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