うにたべたい

月光仮面 悪魔の最後のうにたべたいのレビュー・感想・評価

月光仮面 悪魔の最後(1959年製作の映画)
4.2
劇場版・月光仮面6作目。
テレビ版最終章"その復讐に手を出すな編"の劇場版で、東映版・月光仮面劇場版シリーズ最後の作品です。
これまでの劇場版同様、60分程度の長さで、モノクロ作品です。
ただ、本作は、『キャッチーなマスクをつけた悪の大将が率いる集団の企みを、月光花麺が突き止め壊滅させる』というこれまでのお約束とは少し外れていて、"白髪鬼"と名乗る老人が悪として現れるものの、彼もまた悪人から狙われる被害者であるという構図でした。
テレビ版の方は、1作目とはまた違う"どくろ仮面"が敵として登場するのですが映画はよりキャッチーではないというか、"月光仮面vs謎の犯罪者"みたいになっているんですね。
前前作であったバトルシーンは無く、銃撃戦も比較的少ないため、本作は特に特撮ヒーローらしさが感じられない内容でした。
とはいえ、ピストルやマシンガンに立ち向かい、バイクで颯爽と駆けつける様は、必殺技を持たなくても、やっぱり我々のヒーローだと感じさせてくれます。

岡本という実業家の家の前で異様な音を耳にした祝十郎一行は、背中に"白髪鬼"と書かれた岡本の死体を発見する。
その後、何かに怯えて祝に救いを求めた東条という男も殺害される。
そして、その傍には"白髪鬼"と書かれた貼紙があった。
東条の現場近くで怪しげなバタヤを見つけ、その後をつけた祝探偵は、戦死したはずの毒物学の権威・白上博士を発見する。
割と序盤で、白髪鬼の正体は突き止めるのですが、白髪鬼には悲しい過去があり、復讐を果たすため行動をするが、相手はギャング団で、という展開で、過去の事件、人間関係、目的が入り組んでいます。
そこに正義の月光仮面が現れて、快刀乱麻の活躍をするというストーリーです。
前にも書いた通り、特撮ヒーロー的な感じは少ないですが、映画として非常に面白かったです。
最後も、ラスト10分時点で色々解決していなくて、投げっぱなしになるのではという意味でもハラハラしながら観ていましたが、見事に収集をつけて終わりました。
正直、月光仮面は本作からでもいいくらいだと思います。

ただ、ラストに「月光仮面"のおじさん"」を連呼されるのは不憫でならなかったです。
あんな年齢もわからない格好をしているのに、子供が言うならまだしも五郎八にまでおじさん呼ばわりされるとは、映像では伝わらない加齢臭でも漂わせていたのだろうか。