わさび

未来を生きる君たちへのわさびのレビュー・感想・評価

未来を生きる君たちへ(2010年製作の映画)
4.7
ずっと観たい観たいと思っていた作品。このほどネトフリで配信が始まったので、飛びつくようにして鑑賞した。

監督はスサンネ・ビア、共同脚本にアナス・トマス・イエンセン、主演はミカエル・パーシュブラント、助演にウルリク・トムセン、ほか、キム・ボドゥニアら。
北欧作品でお馴染みのこうしたメンツを見ただけで、まず間違いなく良作に仕上がっているだろうと想像できたが、果たして、素晴らしく佳い映画だった。ああ、つくづく良いものを観た。

妻を亡くした夫、母を亡くしたその息子。彼の友人であり、学校でいじめに苦しんでいる少年。その父親で、アフリカの難民キャンプで働き、日々人間の命の重さについて考えさせられるような難題に直面しては、葛藤を抱える医師。
彼らの抱く悩み、苦しみ、悲しみ、戸惑い、怒りがひしひしと画面から伝わってくる中、ある日悲劇が起こる。

こうした、わたし達が人生の途中で出会うどんな問題からも、どんな困難からも、北欧映画は目を逸らさない。欺瞞やまやかしは決して許さない。その正直で、真摯で、勇敢な姿勢が、わたしは好きなのだ。そして、それが世界で高く評価されている事にも、喜びと安心を覚える次第である。

主演のパーシュブラントの、極悪人を治療した際に見せた葛藤の演技が特に見事だった。あの、フィヨルドのような美しいブルーの瞳が湛えた表情の豊かさといったら。
また、物語の中心的存在である2人の子役も、どちらも素晴らしい人材だった。演技の上手さはさることながら、目力も、雰囲気も訴求力もある。

クリスチャンとエリアスに言いたい。
君達は、悪い子なんかじゃない。悪い事はしたかもしれないが、だからって悪い子だという事にはならない。間違いを犯しただけだ。間違いは、正せる。悔い改めて、立ち直る事が出来る。君達の苦しみは充分に伝わってきた。だからこれからは、お互いへの友情と、家族の愛を決して手放さずに、乗り越えていってほしい。
わさび

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