まつむらはるか

ツィゴイネルワイゼンのまつむらはるかのレビュー・感想・評価

ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)
4.6
『夢と現実、現実と映画の境界がわからなくなっていくようだから、まどろんでいるときに観てはいけない』と言われてすすめられた映画。

まるで自分が夢の中に放り投げられたようだ。
環境音のほとんどしないアフレコの声だけがひびく画面が、なんだか浮世のものではないような感覚がした。
不自然につなげられたカットと展開で、今自分がどこにいるのか、これはいつなのか、誰が正気なのか、わからなくなってくる。

ストーリーも最後まですっきりしないと言っていい。答えのわからない謎を見せられた気分。まずいまずい、このまま寝てしまったらこちらがわに戻ってこれそうにない・・・と見終わってちゃんと一度外に出た。
そのくらいに妖艶で、ふわふわと蜃気楼のようで、静かにあちらがわにもって行かれそうな死の匂いがする。
(映画って映画館で観るとちゃんと一度外に出て風を浴びて景色を見るからいいんだけど、こうも家に閉じこもっていると本当に現実に戻ってこれなくなるから注意しないとダメですね・・・)

青地の妻・周子がモダンな奥さんって感じで、おしゃれでかっこよさとエロさが共存していてよかった!
余談ですがロケ地の喫茶店、ミルクホール(鎌倉駅近く)に行きました。雰囲気最高でよかったです!