せびたん

ツィゴイネルワイゼンのせびたんのレビュー・感想・評価

ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)
5.0
大正浪漫三部作とか清順歌舞伎とか言われてた気がする作品を再鑑賞。
うん。嫌いじゃない。
このケレン味のかたまり。

現世とあの世の境界のような世界観。
後半にいくほどホラーみを帯びてくる物語。

登場人物達が聴くツィゴイネルワイゼンのレコードには、指揮者を務めたサラサーテ自身の声が入っているけど何を言ってるかはわからないというところから始まるこの作品。演奏中に異質なものが現れるというこの部分が、話が進むたびに形を変えて何度も繰り返され、やがて何が現実で何が現実ではないのかが分からなくなってゆくのです。そして男ふたりと女ふたりの組み合わせも意味ありげに繰り返されます。
さらにはちぎり蒟蒻の圧倒的な存在感!
生と性と死と食欲のタペストリー的な。
絶妙なカットワークがツボに突き刺さってきましたし。

役者さんたちもすごいいい!
藤田敏八の怪演と言っていいレベルの独特の存在感が作品にぴったりでした。
原田芳雄、大谷直子、大楠道代もいい!

橋の上で華やいだ雰囲気で空を見ている人達に気づいた藤田敏八が「あの人たちは何をしてるんだい?」と尋ねたとき、「ああ。花火を見てるんですよ」と答えが返ってくるシーンがあります。花火を見ている人達というのは登場人物ほぼほぼ全員なのに藤田敏八だけいないということにゾッとしたりですね。これは何度でも見たいです。Blu-ray買っておこうか考え中。

藤田敏八の静かな怪演加点あり。
原田芳雄と大楠道代も怪演といえば怪演でした。いい感じの存在感。
脚本はあんま好きじゃなかったけど。今年は満点作品濫発イヤーなので満点で。

一般的にはホラーに分類されてないけど、今の自分はこういうホラーが見たかったんだと思ったので、タグではホラーに分類しときました。
あ。千と千尋の神隠しも同様に…。
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